車椅子と脊柱の可動性

こんばんは。

 

今日は車椅子における脊柱の可動性について考えて行こうと思います。

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日本人は欧米に比べ、円背姿勢の方が多く見られると言われています。

それは、日本人は農耕民族である事が大きく関係います。

 

農作業は腰をかがめて作業することが多く、高齢の方は農作業を中心にされてこられた方も多いので円背姿勢が強くなり、また地方に行けばより円背姿勢の方が多くなるのではないでしょうか。

 

 

脊柱の可動性が車椅子に座ったときに及ぼす影響はどんなものがあるのか見ていきます。

 

 

 

 

脊柱の生理的彎曲とは?

 

脊柱は頭部と体幹を支持する骨格です。

脊柱は前からみるとまっすぐですが、横からみると全体的に緩やかなS字カーブを描いています。

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脊柱は、頸椎(7個)胸椎(12個)腰椎(5個)仙骨(1個)尾骨(1個)からなります。

 

そして、頸椎・腰椎は前彎し胸椎・仙骨は後彎しています。

 

円背姿勢によりこの生理的彎曲は崩れ、胸椎・胸椎・骨盤ともに後彎し、頸部は過伸展となります。

 

脊柱の屈曲拘縮が車椅子上でどのような影響があるのか見ていきます。

 

 

 

脊柱に拘縮がある場合

 

脊柱に拘縮がある場合、その人は機能低下が著しく生じます。

 

骨盤後傾位で長時間座っていると生じる事

 

  • 腰背部の筋の張り
  • 過度の胸椎後彎
  • 頸部の可動性の制限

 

円背姿勢になり、腰椎の前彎が無くなってしまうと、直立した座位姿勢ととることが困難です。

 

円背姿勢では頭部を必然と前に出てきます。

頭部の重さはだいたい体重の10%程度とされています。

 

体重が50kgの人なら5kg・・・

5kgと言えば、スイカくらいの重さでしょうか。

 

頭部が重心線より前にあると、重たい頭を保持することが困難となったとき

体は前に倒れる傾向にあります。

また、支えやすいようにバックレストに寄りかかる姿勢となり滑っていってしまうかもしれません。

 

では、そんな場合にどうすれば良いか考えて行きましょう。

 

 

 

車椅子の調整方法の例

円背姿勢に対して大きく2つの方法があります。

 

  • バックサポートを調整する。
  • ティルトリクライニング角度を調整する。

 

と言うことです。

 

バックサポートの調整が出来る場合・・・

円背姿勢の方は、バックサポートから押し出されて、体幹が屈曲し頸部も屈曲してしますます。また、顔を上げようとすれば頸部の過伸展が生まれます。

 

バックサポートを体に合わせて緩めてあげましょう。

その際の注意点としては、上部胸椎はあまり合わせなくて良いと言うことです。

 

腰椎・下部胸椎レベルでしっかりと支える支持面を作ってあげましょう。

 

 

ティルトリクライニングの調整が出来る場合・・・

 

ティルト=座面の角度

リクライニング=背もたれの角度

 

 

円背姿勢では重心が大腿遠位部に近づいて言ってしまいます。

そこでティルトをかけ重心をバックに持ってきます。

そうすることで、背中に重さが逃げるため頭部の伸展は容易になるかもしれません。

 

ティルト角度をつけた場合、リクライニングの角度もみてみてる良いでしょう。

90°のままでは腹部の圧迫を起こす可能性もあります。

 

評価し体幹の角度をリクライニングにより調整してあげましょう。

 

 

まとめ

 

今起こっている姿勢の原因などを理解すると、不良な姿勢から改善させる方法が見つかるかもしれませんね。

 

円背姿勢は高齢者でもよくみられる姿勢なので、車椅子生活を送られている方は一度調整してみてください。